プログラミングスクールおすすめ情報を探す初心者へ向けて 〜貴重な時間を無駄にしないために知ってほしいこと〜

プログラミングスクールPROGRAMMING

長文です。ご容赦ください。

本記事の目的

世間のプログラミング人気を反映してか、ネットではプログラミングスクールの情報があふれています。

  • プログラミングスクール おすすめ
  • プログラミングスクール 評判

とGoogle検索すると山のように情報が出てきます。ですが、大抵が表面的な情報であり、ノイズという印象を拭えません。理由は明白で、高額な収益が目当てのアフィリエイトサイトが大半だからです。これらのサイトの目的はあくまで報酬ですので、どこのスクールの何が良いかという情報を提供・比較・誘導するのみであり、いわばスクールの宣伝部隊でしかありません(それがアフィリエイトの目的です)。そのため、この手のサイトではスクールのうたい文句がそのまま流されていることも普通です。

評判や口コミも偽装自体は容易に出来うるので、鵜呑みにはできません。twitterの投稿を「口コミ」としてかき集めて紹介しているサイトもありますが、大抵、信用性・信ぴょう性が精査されていません。

大抵のサイトを見ても内容が薄いと感じるのは、正しい感覚だと思います。プログラミングスクールの学費は一般的に20万〜30万程度と見過ごせない程の高額ですが、限られた人生の貴重な時間と資産を無駄にするのは、誰しもが避けたいはずです。

この手の信ぴょう性が薄い情報が出てくる理由は、WebライティングとかSEO対策と言われる技術の悪い側面でもあると考えていて、タイトルに検索キーワードを入れるとか、途中に画像を入れるとかは基本らしいのですが(装飾目的の無意味な画像がやたら多いが)、現状のGoogle先生のアルゴリズムと言えど、情報の信ぴょう性を機械的に判断することについては、まだまだ改良の余地があるようです。まぁ、善し悪しの判断は単純ではないという話でもあると思いますが。

GoogleがYMYL (Your Money or Your Life)という概念で、人生の重大な判断に関わる情報はランク付けに大いに関わると解説していますが、実態はどれだけ出来ているのでしょう。収益目当てのアフィリエイトサイト・宣伝用ページは立場に偏りがあると見なすのが自然な考え方ですが、それらの情報は検索する者のニーズを十分に満たすことはできるものなのでしょうか。

プログラミングスクール入学を検討している初心者の方々、情報収集をしている方々のために、現職の立場から幾分はまともな情報を提供したいと思い、プログラミングスクールとそれに関するネットの情報について、多少でもまともな考える材料を提供することを目指したつもりで、それが本記事執筆の目的です。転職目的でスクールの情報を探す方を、主な読者として想定しています。

念のため補足したいですが、プログラミングスクールを全否定する意図はありません。何が有益であるかは当事者が決めることです。とっかかりが欲しい人、全く学び方が分からない人にとっては、一つの選択肢になり得るでしょう。

自分のこと(経歴など)

大学院卒業後、メーカー系SIerへ技術職として入社し、業務系システムのオーダーメイド開発・設計・顧客対応、パッケージ開発(開発部隊)、たまにヘルプでVDIのインフラ構築(Active Directory構築支援とかサーバースクリプト作成とか支援的な業務)をしてました。言語は主に.NETです。

現在は転職して情シス部門に在籍しています。部署の業は運用管理や現場の利用者対応がメインですが、プログラムの能力が幸いにも認められてデータ抽出・加工(SQL、PL/SQL、Pythonを使用)、Access VBAの小規模なシステム開発(主に参照系)、C#のツール開発もしています。あと、社内イントラの一部をSSG(静的サイトジェネレーター)で開発したりも。Python、JavaScript(HTMLもCSSも)は独学ですが、特に難しくはありませんでした。ちなみに趣味ではNode.js、PHP・WordPressカスタマイズ、React、とか色々手を出しています。作ることが好きです。

もともと、現職での採用はプログラム開発をする前提ではなかったのですが、現場からの需要に加えて、私ができる人だと偶然にも認定してもらえたので、現職でもプログラム開発の仕事をしています。

一応はプログラミングの能力でも飯を食ってきましたし、SESの仕事の実態も間近で見ているので(従事した経験はないですが)、多少は体験談的な情報を語れるかなと思いました。お役に立てればいいのですが。

「プログラミングスクール」はアフィリエイターの主戦場

プログラミングスクールに限らずネット検索における基本的な注意点として、信ぴょう性の判断が難しいことが挙げられます(意図的に実態が隠されるという意味も含む)。

アフィリエイトとは、物品・サービスをサイト上で紹介・仲介するだけで手数料がもらえるサービスで、Amazonアソシエイト、楽天アフィリエイト、A8.net、もしもアフィリエイトが有名です。ただ、Amazonは紹介料が商品の1%程度だったりするので(商品により割合は異なる)、大した収益が見込めません。ちなみに、アフィリエイターとはアフィリエイトで収益を上げる人のことです。

反面、プログラミングスクールの仲介手数料は、比較的、高めです。

理由は報酬単価の高さ

スクールによりますが、説明会への参加、カウンセリング受講、無料体験講座受講などに結びつけば、1件あたり数千円から高いものだと2万円の報酬が得られます。これは、他のアフィリエイト案件と比較すると相当良い金額ですので、副業目的でサイト運営をする人からすれば、当然に手を出したくなるでしょう(実態はそう簡単に儲かりませんが)。

実は、この手のネットビジネスを勧める自称コンサルタントという者がいて、ネット上では大勢見つかります(twitterではよく活動している)。「SEOコンサルタント」だったり「Webマーケター」を名乗っていたり、彼らの呼称は様々です。まともな人もいるでしょうが、大抵は収益報告も含めて実績・実態も不明瞭であることが多く、一部からは「情報弱者をターゲットにしたビジネス」とも揶揄されていて、個人的には私も同じ印象です。

手口は様々ですが、

  1. 高収益の実績をアピール
  2. 初心者を集客する(SNSや無料メルマガなど)
  3. 情報商材販売(noteなど)、サロン運営、コンサル料で稼ぐ

が典型例でしょうか。収益金額のスクショを掲載している人もいますが編集が容易ですので、あてにできません。教えられる内容についても、初心者ゆえに何も知らない立場では内容の信ぴょう性についての判断は正確にはできません。確実に成果が出る保証もありません。問題は、実は最初は収益なんて上げていなかったのに、あたかも成功者であるかのように装い、情報商材販売やコンサル料で稼いで儲けているアピールをしている人たちであって、「嘘から出たまこと」と言えば言葉は良いですが、実態はただの怪しいビジネスでしかありません。

プログラム開発や情報セキュリティの技術的な情報源についても、有名な専門家の解説サイトよりも内容の薄い(そして誤っている)サイトが検索上位に来ることが、実際にあります。この一連の施策は「SEO (Search Engine Optimization)」(とかSEO対策)と呼ばれ、アフィリエイターやネットビジネスを展開する者には必須の知識だとネット上では言われているので、検索するとこれも大量の情報が出てきます。今では常識だと思っていますが、検索上位に出るからと言って、その情報が信用できるとは限りません。他サイトの文章を巧妙にパクっただけのサイトもあります。Google先生にはこの辺りをうまく見破ってほしいものですが。

ネットの評判・おすすめサイトで判断しないこと

ですので、自明かもしれませんが、これらの背後に意図がある真偽不明の情報はあてにしてはならず(サービスの特徴をまとめたサイトなら多少は参考になるが)、真に受けてしまうと、知らず知らずのうちの人生の貴重な時間と財産を損をしてしまうかもしれません。ただ、無料の体験講座に行くだけなら、とりあえず、その講座にかけた時間以外の損はしません。受講者の人の層を見ることもできますし、雰囲気も何となく分かるかもしれません。ただ、集客用の講座は普通は印象の良い講師を出してくるので、その点も注意ですが…(私立の専門学校は実は同様の手法をとる)。

プログラミングスクールを批判的に検討している(とおぼしき)サイトについては、どうでしょう。

  • プログラミングスクール やめとけ
  • プログラミングスクール 無駄

で検索すると、有益なサイトは見つけるでしょうか? 私の印象は、役に立たない一般論しか書いていないか、言われてもどうしようもないことしか書いていない、という印象です。なぜ、役に立たないと思うか、以下、その手のサイトにある具体的な文言の例です。

「講義・教材の質が低いスクールに注意」

基礎知識もIT業界の実態も知らない初学者に、教材の質やカリキュラムの適正さを判断できるでしょうか。質の低いスクールはあるかもしれませんが、教材の詳細は普通はネットで公開されいないことが多いので、結局は受講しないと分かりません。ネットの評判は偽装も容易ですし、他人の主観を真に受けることもできません。

ちなみに、名前は挙げませんがネット検索ではよく見かける、とあるプログラミングスクールのカリキュラム(RubyとNode.js)を拝見しましたが、教える内容は、書店の書籍1冊程度のものを解説するだけの内容のようでした。書籍より耳で聞くほうが記憶に残りやすく講師に質問ができるのはメリットですが、実践的な実力の養成としては不足があります(言語の知識だけでは何ともならない部分が多いので)。

あと、「企画立案から開発までを実践さながらに経験」したとしても、それだけがエンジニアの仕事ではないと思います。顧客に提示可能な見積金額・工数と赤字案件になるかどうか、会社的に許可されるかどうかの判断、上手な対処法、プロジェクト管理、部下の管理は教えてくれるのでしょうか。システムを売り物にする企業であれば、エンジニアにも営業職の視点が必要なはずです。それに中途採用ですよね。

「講師が現役エンジニアでないことがあるので注意」

私立大学や専門学校の体験学習や説明会では、普通、アピール用の経歴がある話の面白い講師が出てきます。スクールも商売ですから同じと考えて良いでしょう。ですので、究極的な質の判断というのは、入学して実態を見ないことには分からなくはないでしょうか。注意とだけ言われても初心者の立場では判断が困難です。転職先に良さげな会社が並んでいても、第三者がきちんと検証したものではないので、鵜呑みにできません。卒業生のごく一部しか大手企業(大手だから良いとも限りませんが)か希望の求人にありつけていない可能性だってあります。

そもそも、優秀な現役エンジニアであればプログラミングスクールの講師という微妙なキャリアを選ばないでしょう。IT人材不足がこれだけ騒がれている現情勢で、現場が優秀な人材を離すことはしませんし、現場で活躍した見返りとして企業内では適切なキャリアが用意されています(でないと人材が流出する)。技術職に経験は必須のものですが、講師になれば最新技術のキャッチアップはできないし、実務から離れることになるので、実務指向の人は普通は選びません。

あと、「手取り足取り教えてもらうのではなく主体性が大事」とか「質問をよくすること」とか、プログラミングスクール以前の問題をさも当然のこととして解説しているサイトもありますが、情報としての価値はゼロですよね。

少し話が逸れますが、プログラミングスクールのアフィリエイトサイトについても、運営者のプロフィールがWebエンジニアというブログをちらほら見ます。フリーランスの方が多く小規模な案件が多いというイメージですが、Web系技術に強い故に、サイト運営とアフィリエイトをされているのでしょうか。

プログラミング人気を反映してかスクールも活況

プログラミングスクールは実際人気のようです。Google検索がどれほど行われているかは、Google Trendsを使用すると時間経過で見ることができます。

Google Trendsはあくまで「よく検索されている」ことを示すだけで世間一般の人気であるとは安易に一般化できない点に注意が必要ですが、トレンドを判断する材料にはなり得ます。

2017年あたりから、確かによく検索されているようです。

Googleトレンドから見る「プログラミングスクール」人気の状況

文科省が義務教育でのプログラミング教育を必修化を公表したり(こちらは小中学生向けですが)、確かにこの辺りから社会人のプログラミングスクールについても流行が始まった印象があります。プログラミングスクールは大手から中小まで多数乱立していますが、要は、それだけ需要があるのでしょう。

経産省が2018年に出した「DXレポート」でもIT人材が将来的に不足が言われていますが、ただ、あまり甘く考えないで欲しい点があり、実際の実務は失敗が許されるわけではなく、技術的な習得は時間がかかることが普通なので、「3か月学んだ未経験者でもすぐにできる仕事は限られている」ことです。「IT業界は人材不足だからスキルがなくても大丈夫だろう」と高をくくって来る方も実際にいますが、わりとすぐ辞めたりメンタルをやられてしまったりするイメージです(もしくは戦力外で間接部門に異動する)。

未経験・プログラミングスクール卒業の人材を現場は求めているか?

この問いに対する私の回答は2つあり、

  • SESで誰でも良い仕事なら「Yes」
  • 即戦力が求められる職種なら「No」

SESの中でも簡単な仕事であれば、ありつける

SESはSystem Engineering Serviceの略ですが、要は客先常駐の派遣で、客先の指揮系統の下で比較的単純な作業に従事することが大半です。

実は私の職場は運用管理業務の実務面は外部業者に委託していますが、これもSESの一つの形態です。業務内容は、恐らく、大抵の方が思い浮かぶようなエンジニアの仕事ではありません。私の職場(医療機関の情シス部門)について、具体的に説明してみます。

まず、プログラムは書きません。構築後の監視(ログ監査とか)もありますが、委託業者の中でも一部の人だけがしています(但しメインは問合せ対応)。大抵は、PC操作なんて全然知らない現場の人から問合せを受け、操作方法を説明し、データや挙動がおかしい時はベンダーや委託元の職員に確認したりと、操作支援と取り次ぎ的な業務が大半です。技術的な対応は基本的にしません。PCの操作に苦手意識がなく、ストレス耐性が強い人であれば、恐らく誰でも大丈夫です。データが変でも自分でパッケージの中のデータを調べることはできません(許可されていない)。

見る限り半年に1人は退職していますので、まぁ離職率は高めです。理由としては「現場の最前線で怒られることの多い仕事だから」があるでしょうか。利用者からの要望を受け付けることも仕事というか役割になるので。まぁ、操作説明などの細々した仕事を管理職や委託元がしてしまうと本来業務に差し支えがあるのですが。

ただ、人材不足という事情があり、未経験でも採用されやすいのが実態です(ハローワークでもこの手は求人が多いイメージ)。ちなみに、プログラミングスクール卒ではない未経験の人材も普通にいます。採用に有利なのは年齢の若い人です。なんでしょう、歳を取ると扱いが難しくなったり、言うことを素直に聞いてくれないからでしょうかね?

プログラミングスクールの中には転職保証のコースが用意されていて、転職に繋がらない場合は全額返金してくれるようです。ただ、規約を見ると30歳という年齢制限を儲けていたり(DMMの場合)、YouTubeでよく見るTechAcademyに関しては、20歳以上・32歳以下が対象で、学習時間300以上確保、加えて、全ての課題に合格する必要があるという、まずまず厳しい制約が課されています(なので事前に確認しましょうね)。まぁ、年齢が若いほど転職がしやすいので、スクールとしては返金のリスクを少しでも減らしたいと考えているのでしょう

ちなみに、TechAcademyの運営会社であるキラメックスも、侍エンジニア塾を運営する株式会社侍も、DMMも、運営会社の情報には「有料職業紹介事業許可番号」の記載があります。人材を斡旋すれば斡旋先から報酬をもらえるものですが、入学希望の時点でIT業界転職の意思があるはずなので、うまく人材を流すビジネスもしているようですね。それ自体が悪ではありませんが、転職後の卒業生がどんな進路を辿ったかについても、教えてほしいものです(そこ重要なので)。

ちなみに、この話題については、Yahooニュースに興味深い記事がありました。

「自社でアプリ開発などをしている企業に行きたかったのですが、SES(ITエンジニアの技術者派遣)が多かったです

その現実は「甘くない」、問い合わせ1.5倍増のプログラミングスクール

スクールを卒業してすぐに、企画や制作できるような事業会社に転職できるのは、1割程度だと感じています

同上

2番目の引用は侍エンジニア塾の方の発言です。

どんなブラックな企業でも、ひとまず紹介して転職させればスクールとしては儲けになります。あるスクールでは紹介を断った場合は返金しないと明記していますので、転職保証がメリットであるとは安易に考えないほうが良さそうです。

エンジニアの職務内容は様々(プログラミングはその1つでしかない)

ITエンジニアという大雑把なくくりの中で、プログラミングをする職種というのは、私の感覚では一握りです。他にも、サーバーやクライアント環境の構築をするインフラ系エンジニア、電話対応などのヘルプデスク、SIerで顧客対応・構築後の保守対応をするフロントSEなど、エンジニアも実態が様々なのが実情です。

ヘルプデスク業務はSESが非常に多い印象です。単価(工数)も非常に安いです(おそらく給料も)。ですが、忙しいです。経験・機会も限られます。

SES会社での仕事は単純作業が多い

前職のSIerでもSESも常駐させていましたが、職務内容は所定の手順に従って画面にテストデータを打ち込んでテストするだけの人手が必要なだけの単純作業だったり、プログラム開発をするにしても設計は触らせてもらえないし、請負元が気に食わないと判断すれば契約を打ち切られるし(わりとあった)、要は、あまり創造的な仕事はできない印象でした。現在の運用管理部門でも、同じです。

即戦力での採用は難しい

理由は、プログラミング言語だけ知ってても仕方ないからです。

病院で勤務するなら業務の理解(用語の意味とか法律の規制やその対応とか)がないと判断を誤りうるし、データ抽出をするにしてもデータの意味が分からないと変なデータを出してしまいます(誰しもがそういう経験をして成長するのですが)。業務に関する知識も、時間をかけて身につけていくことが普通だと思います(その職場特有の仕事の仕方もあるし部署でも違うし)。なので、エンジニアでも技術的な対応能力以外に得意領域を持っていることも多いはずです。電子カルテの経験があるとか、会計システムの経験があるとか。

Web系のシステムを構築するにしても、システムが落ちることは許されないので、サーバー何台構成にするかとか、データベースサーバーのパフォーマンスチューニングとか、まぁ、純粋に技術的な対応をするにも各製品固有のことがあったり、知っておくべきことは沢山ありそうです(なのでDB構築専門家とかもいる)。

ちなみに、SIerに入社すると、普通は1年目は勉強が仕事として位置付けられることが普通です。業務もしつつ勉強もします。

そもそもプログラミング言語だけ知ってても仕方ない

顧客や上司との信頼関係構築は、技術というよりは人柄とか仕事の姿勢がものを言う部分が大きいのと、技術的な能力よりは会話で「ああ、この人大丈夫そうだな」と安心してもらえることも大事なのですが、言葉では簡単に言いますが実践するのは結構大変なはずです。納期は絶対ですから進捗管理も疎かにできません。コミュニケーションが大事だし、工数も守らないといけません(サービス残業もないわけではない)。上でも書きましたが、システムが売り物の企業であれば、エンジニアにもビジネス的な視点が求められます。

Pythonは習得が容易で有名ですが、システム構築のプロジェクトで見たことがありません(あるのだとは思いますが)。そもそも、Pythonはエンジニア以外の職種でも簡単に使えることがコンセプトの1つでもあるので、データの集計・加工だったり作業の自動化では強いと思いますが、別の専門分野を持っていないとPythonだけでは強みにはならないという印象です。何でしょうね、病院の医事会計とか経営管理に詳しいとか、研究の仕事もしている、とかでしょうか。機械学習にしても同様で、それ以外の専門性が強みになるのではないでしょうか。でないと、「Pythonで何ができるの?」と言われないでしょうか。

Web系であれば、PHP、SQL、HTML、CSSあたりを学ぶだけだと当然足りないと思っていて、「利用者は1000人程を見込んでいるけどサーバーは何台必要か?」とかの質問にも答えられないといけない気がするし、将来的な利用者増加にどう対応するかとか、可用性対策とかバックアップをどうするかとか、障害発生時にどう対応するかとか、この辺りのことをスクールって教えてくれるものなのでしょうか。30代未満の転職なら未経験者は入社後に教育するものだと思いますが、スクールで学ぶ数ヶ月の勉強は中途採用で入社する場合のメリットとしてはどれ程のものなのでしょう。

上でも書きましたが、システムの設計をする立場になると業務知識(ざっくりした言い方にはなりますが)も大事でしょう。病院なら電子カルテのこととか、診療情報の管理に関することとか、医事会計とか、製造業なら販売管理(売掛の管理)とか、会計とか。純粋にプログラミング言語の知識だけで食っているエンジニアはごく少数のはずだと思います。何かしらの強み+エンジニアとしての対応能力が強みになっている人が多いです。中途採用なら何かできないと強みになりませんし、全くの未経験ならスクールに通うメリットって?と思ってしまいます。

言語の選択について(スクールはWeb系が多い)

プログラミングスクールで用意されているコースはWeb系の技術(PHP、WordPress、Rubyとか)、モバイルアプリ(iOS、Androidアプリ)、Python、この辺りが多いようです。

では、世間一般の需要はどうなのでしょうか?

伝統企業ではない一部の新規企業で、B to Cの新規ビジネスを展開しているところに関しては、Web系が多い印象です。ただ、世間の需要的に最も多いのはJava、その次に.NET(C#、VB)ではないかな。私の職場に導入されているシステムも概ねこのどれかです。Web系のシステムもありますが、JSPです(要はJava)。

開発プロジェクトで採用されている言語の統計に関しては『ソフトウェア開発データ白書』(情報処理推進機構)に記載があります。断トツでJavaが多く、次にCOBOLも多いですが、VBC#(.NET)がその次に続きます。

プロジェクトで採用されているプログラム言語の統計(ソフトウェア開発データ白書から)
ソフトウェア開発データ白書(2018−2019)

数値は以下の通りです。PHPは比率では0.7%、Rubyは0.1%、Pythonは0.3%と、非常に割合は少ないです。

同上

ただ、上記の資料はデータ提供元の企業がNTTデータ、NEC、富士通、TISだったりするので、大手システム会社のプロジェクトが調査対象データになっています。ただ、昨今のDX騒動でも言われているように、日本のシステム開発はITベンダーによる受託開発に偏りがあるのが実際ですから、無視できないデータでしょう。

ちなみに、IT企業が実施している事業について見ても、インターネット関連サービス・モバイルアプリの開発がとりわけ多いわけではありません。下の図は『IT人材白書2020』(情報処理推進機構)ですが、最も多いのは受託開発です(この手のシステムはJavaや.NETが多い)。

IT企業が実施している事業(IT人材白書2020から)
IT人材白書2020

では、これからはクラウドサービスがより増え、時系列で見るとWeb系技術が増加しているのでしょうか? 下の表は、『ソフトウェア開発データ白書』の、2012-2013、2014-2015、2016-2017、2018-2019、から開発言語の部分だけ抜き出して表のしたものです(それぞれ母数が異なるので割合で比較した)。PHP、Python、Ruby、JavaScriptは直近のデータしか分かりませんが、Java、C#、Visual Basic.NETの割合は増加しているようですね。JSPやASP.NETもWeb系と言えばWeb系かもしれませんが、Javaの講座があるスクールはちらほらありますが、C#、VB.NETは少ない印象です。Web系システムが増加しているならHTMLは増加しそうですが、そういうわけではないようです。

『ソフトウェア開発データ白書』の開発言語の経年比較
『ソフトウェア開発データ白書』の開発言語(2012-2013、2014-2015、2016-2017、2018-2019)

要は、世の中的にはJavaや.NETの需要が多いのが実情だと思うのですが、それにも関わらずプログラミングスクールはWeb系やPythonを中心に提供しているようです。どうしてでしょう、恐らくは「イメージが良さそう」なので学生を集客しやすいのだろうと推測します。ネットは加工されたきれいな情報が多い場所ですが、それが体験に結びついている人も少なくはないと思うので。

ただ、Web系は実態も結構しんどいです。私も一時はしていましたが、CSSのレイアウト調整はプログラミングとは別次元の能力が必要だし(そもそもがデザインの分野だ)、覚える言語は1つではないし(HTML、JavaScript、PHPとか)、Laravelなどのフレームワークがある場合は使い方も覚えないといけないし(WordPressもBootstrapも同様)、しかも、技術の移り変わりがとりわけ速い分野だという印象です。

あと、Web系はOSS(Open Source Software)をよく使用しますが、無償で利用する場合、サポートが一切ないことが普通です(サポートでお金を取る場合が多い)。それか、OSSのサポートを専門的に提供するサービスと契約するか。で、このサポートがないために困る事態というのは案外起こるものです。Oracle DatabaseはOSSではありませんが、有名なソフトでも不具合はそこそこ見つかります。ネットに全ての情報があるわけではないので、製造元に問い合わせない分かりません。これは結構大きな差で、商用サービスを提供する場合は懸案事項になりそうだと思うのですが、数ヶ月の間にこの辺りに対応できる力量をスクールは教えてくれるのでしょうか。OSSだと不具合が発見されても対処がされない場合もあります。

転職で人生ワンチャン逆転を狙うなら「やめとけ」(考え直せ)

もし未経験からITエンジニアに転職して年収アップを狙いたいと考えているなら、結構ハイリスクな選択肢、だと思うので、もし私が友人に相談されたら「良い選択肢ではない」ということを伝えるでしょうか。

私は採用・人事は経験していませんが、3か月だけ客商売の民間スクールに通って実務に耐える能力を身につけられるなんて到底思えません(正直そんな人は見たことがない)。大抵、どんな人でもゆっくり時間をかけて身につけていくものだという認識です。

大学や専門学校の情報学科卒でさえ新卒で企業に入ると未経験扱いなのが普通で、新卒入社であれば入社して1年間は勉強期間として位置付けられ(勉強はその後もずっと必要だと私は思っているけど)、それを経てもまだヒヨコみたいな扱いをされると思うのですが、スクールで3か月(とか4か月)1日あたり3、4時間勉強して、一体どんなアドバンテージが得られるでしょうか。IT業界へ仕事をしたい意思があることと、その後の採用先となる企業が研修時間と費用を従業員に転嫁できるという企業側のメリットはあるかもしれません。まぁ、未経験者を採用する企業なら入社後に教育はするだろうし、SESへ行くならスクール経由しなくてもいいんじゃない?とも思ったりしますが。

ただ、IT業界と繋がりはないが、どうしても仕事をしてみたい人には、とっかかりにはなると思います(30代以上の未経験転職は厳しい気はしますが)。と言いますか、お金を出して機会を買うしか選択肢がない状況の人もいるかもしれません。ハイリスクではあるかもしれませんが、リスクのないチャレンジはないです。

未経験から始めたいなら全くの無駄とは思わない(高額だが)

IT業界やプログラミングに興味はあるけれど今まで全く繋がりがないという人にとっては、大変な高額だと思いますが、機会が作れるという意味で全くの無駄ではないと思います(そもそも、何が無駄かは当人が判断することですが)。

ただ、スクールを通じての転職を希望している場合、プログラミングスクールやアフィリエイトサイトが宣伝しているイメージよりはハイリスクな要素が多い選択肢だと思いますので、それだけは念頭に置くべきでしょうか。まぁ、未経験からの転職というのは、ITエンジニアに限らず、そういうものだと言われればそうなのですが。

とりあえず、無料体験講座や無料相談を受けてみるだけであれば、その時間分以外の損はしませんので、興味があれば無料の分だけ体験してみるのもアリです。

とりあえず無料体験だけなら損はしないと思うよ

不安材料しか書きませんでしたが、一度興味を持つと頭から離れない人もいると思うので、無料体験講座くらいなら損はしないですから、とりあえず行って覗いてみるだけならアリです。どんな人が受講しているのかも分かると思いますし、実際を見てみることは大事です。

ただ、即決は避け、入学の是非は数ヶ月ほど時間をおいてじっくり考えたほうがよいでしょう。

有名どころで無料体験を実施しているスクールを載せました。ご参考までに。

  • TechAcademy
    YouTube動画の広告にも出てくるので有名ですね。
  • CodeCamp
    こちらもよく目にします。

DMMはネットでよく見ますが、こちらは無料体験講座を実施していませんでした。

まぁ、このサイト以外もご覧になって、じっくり検討して下さい。20万円は高額だし、人生を左右する大事なお金です。重ねて言いますが、プログラミングスクールが100%無意味だとは考えていません。

リンク

ネガティブな情報が全てではありませんが、こういう情報は埋もれてしまう傾向にあります。まぁ、お時間があればどうぞ。

古巣の侍エンジニア塾(株式会社侍)の炎上について思うこと

侍エンジニア塾にお金を捨てた話

プログラミングスクールはやめとけ(へたれエンジニアのブログ)

社会人にプログラミング教室は本当に必要か(渡るネットは嘘ばかり)

プログラミングスクールのメンターを辞めました(Qiita)

 

以上です。

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