病院SEはどうやって勉強してるか

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富士通、NEC、日立などの大手ITベンダーの場合、グループで教育専門の会社を持ってる場合が多く、あと自社内に色んな専門部署があると思うので、大手SIerの場合、教育制度がある程度は確立してるように思います(中小や医療業界に比べれば)。

ですが、病院にはSEがいない職場もあるし(医療業界以外でも)、能力の維持・向上・情報収集のために何をすればいいのか…は気になるところです。

医療業界に来て多少の経験は見聞きしてきましたので、この業界にいるSE(狭い世界かもしれませんが)がどうやって自分を高める活動をしているのか、まとめてみたいと思います。

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医療情報技師の研修

医療情報技師の資格を取ると、5年以内に50ポイント以上を取得し、かつ、そのうち1回は医療情報技師育成部会が主催する「生涯研修セミナー」を受講しないといけません。

ポイントをどう稼ぐかというと、ポイントのつく勉強会に参加したり、医療情報学会の大会に参加・発表したり、指定のe-learningを受講したり、後、病院SEとして1年勤務しても、もらうことができます。

ちなみに、勉強会の参加やe-learningの受講にはお金がかかります。それぞれ、1回当たり数千円で、勉強会とかなら2か3ポイント、e-learningなら値段もやや上がりますが10ポイントのものがあります。

典型的な維持費用がかかる資格です

当然、能力を維持・向上することが目的と思いますので、貴重な勉強の機会ですし、他の職場の方々と交流できる場でもあります。

学会への参加・発表

地域の病院や診療所にはSEがいない場合も多いと思いますが、特定機能病院や大学病院など、そこそこの規模の病院になると、電子カルテの導入は今どき当たり前ですから、情報部門が設置されてることが殆どだと思います。

で、そういう大きな病院の情シス部門の方々は、とりわけ、医療情報学会の学会員になっていて、参加・発表したりする機会があるみたいです。

巷の病院やクリニックでも、学会活動をされてる医師は普通にいます。医療業界はやや特殊で、看護学やら、放射線技師やら、臨床工学技士やら、それぞれの領域で学会があり、勉強会もしていて、要するに、IT業界に比べるとアカデミックな研究がわりと身近で盛んな印象です。

医療業界って特殊な印象です。横の繋がりを作る機会も多いし。

去年は千葉県の幕張で、医療情報学会の全国大会が開催されました。
今年は筑波らしいです。

発表するのは結構大変そうですが(聴衆から突っ込みが来るので)、見るだけでも勉強になりそうです。

院内で開催している研修に参加する

大学病院になると、感染症、医療安全などについての講習会が毎年開催されているはずです(病院の規模維持の要件として)。

で、ある程度大きな医療機関だと、セキュリティ教育の必要性があるので、IT講習会が定期的にされてることもあります(これは、SE向けというよりはユーザー向けの研修ですが)。院内にPCを持ち込む場合は所定のセキュリティソフトを入れましょう…とか、パスワードはそれなりな複雑性のものにしましょう…、とかそんなレベルのやつですね。

感染症の講習会は院内感染に対する対策がテーマが多いと思いますが、現場でどんな取り組みをしているのか…は知っていて損はないと思います。

医療安全の講習会は、情シス部門にとっても重要です。電子カルテの操作や不具合は医療安全に大きく影響するので。

ITベンダーのSEでもそうですが、システム単体だけではなく、現場でどんな運用をしているか、どんな人たちが使っているか、を知るのは重要なので、こういう機会は無駄にしない方がいいですね。

医療、看護、病院ではどんな仕事・業務をしているのか、を知るのも病院SEとしてはとっても大事だと思います。

ただ、これは大病院だからやっていることで、地域の病院やクリニックだと無いと思います。その点、大病院はメリットがあります。

社会人学生として勉強する

社会人として働きながら、尚且つ、大学院(もしくは大学)で勉強するのは大変ですが、稀にこれをされている人もいます。

ただ、大学よりは大学院をしている人のが多いかも。医療+ITという特殊な領域になると、大学の学部よりは大学院レベルでの研究になるからだと思います。

ここまでする人はかなりの頑張り屋ですね…。沢山勉強し、知識を体系的にまとめて論文にし、それに大学院にまで行くと色んな人との交流もできます。

両立できればかなり充実した勉強ができそう。院卒の学位ももらえますしね。

まとめ

IT業界だと会社が指定する研修や、社内の研修しかありません。ですが、医療業界では学会でアカデミックな発表を聞いたり発表もできるし、医療情報技師の研修もあり、自己研さんの方法は他の業界の情シス部門より活発なのかもしれません(少なくとも他の業界では聞いたことがなく、自分で個人のツテで勉強会に参加させてもらったり…くらいしか聞いたことがない)。

ただ、やはり大学病院とか大規模な病院のほうが自己研さんの環境には恵まれているかもしれません。小さい病院だと院内で研修とかないしね。

院内SEの領域もまだまだ発達段階だと思いますが、勉強の活動に参加しやすい環境はできているように思います。ぜひ活用したいものですね。

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